人間は、進歩か退歩の何れかであって、その中間はない。
現状維持と思うのは、実は退歩している証拠である。
[ 森信三 一日一語 ] より
相続税の計算方法 中條レポートNo251
日本の相続税の計算方法はちょっと変わっています。
変わっているのは、誰がどれだけ財産を取得したかにかかわらず、相続税の総額を計算するところです。
総額が計算出来ると、その税額を各相続人が取得した財産の割合で按分します。
具体的に計算してみましょう。
ご主人が亡くなり、相続人が妻と子供長男、長女の二人。相続課税価格1億円。
妻が6,000万円(6/10)、長男が3,000万円(3/10)、長女が1,000万円(1/10)取得したとします。
まず、1億円を誰がどれだけ取得したかに関係なく、法定相続分で取得したとして相続税を計算します。
法定相続分は 妻1/2 長男1/4 長女1/4
相続税は1億円-基礎控除4800万円(3000万円+600万円×3)=5200万円
に対して課税されます。
この5200万円を妻が1/2の2,600万円 長男長女が1/4の1,300万円取得したと仮定し各々の相続税を計算します。(ここが変わっているポイントです)
それぞれの税額は妻が340万円 長男長女は各々145万円。(計算省略)
上記の合計額630万円の相続税を各々が相続した割合で按分します・
妻 630万円×6/10=378万円
(妻には税額の特例がありますので相続税は0円となります。(計算省略))長男 630万円×3/10=189万円
長女 630万円×1/10=63万円
ドイツやフランスのように相続人がどれだけ財産を取得したかで、それぞれの相続人に課税する国と、アメリカやイギリスのように亡くなった方の遺産の総額で相続税を課税する国があります。
日本は二つの方法の折衷ともいえる、仮に法定相続分で分けたと仮定して相続税を計算しています。
それぞれ一長一短です。大切なのは特徴を正確に把握し遺産分割をすることです。
北風と太陽 野口レポートNo307
「北風と太陽が、力を争っていました。旅人の着物を脱がせ裸にした方が勝ちだということになり、北風は烈しく風を吹きつけました。吹けばふくほど旅人は着物を押さえます。太陽はほどよく照りつけ、徐々に暑さを増していきました。旅人は次々に着物を脱ぎ始め最後には裸になりました。」有名なイソップ物語の話です。
私の事務所は自社ビルの管理事務所を兼ねています。以前は隣がお弁当屋さんでした。従業員のおねえさんから相談を受けました。外壁に設置してあるガス湯沸かし器のコンセントを子ども達が抜いてしまい、その度に仕事が中断し、いくら注意しても聞いてくれず困っているとのことでした。駐車場が併設してあり、子ども達にはかっこうの遊び場です。どうも問題の主は小学生のようです。湯沸し器の横に目線に合わせ、次のようなメッセージを貼りました。
「元気なぼくたちへ おねがい ここのコードは抜かないでね お弁当屋さんの おばさんと おねえさんが いっしょうけんめい お弁当を作っています コードが抜けてしまうと お弁当が作れません おばさんや おねえさんが 困ってしまいます コードを抜かないと 管理人のおじさんと 約束しましょうね。」
いくら注意しても叱っても止まらなかったイタズラが、その日を堺にピタリと止まり、それ以来苦情は一度もありません。
ある地方では認知症になったお年寄りのことを「おじいちゃん(おばあちゃん)は、子供にかえってしまったなあ~」と言うので「二度童子(にどわらし)」と呼んでいるところがあります。
何と思いやりに満ちたあたたかな呼び方でしょう。赤ちゃんと認知症になったお年寄りの行動は似ています。赤ちゃんは成長過程だから誰からも文句を言われず笑って見ていられます。お年寄りの「二度童子」となると、実際に直面する現実の厳しさが心での受け入れを難しくしてしまいます。
認知症になると「叱りつける」「命令する」「役割を取り上げる」「何もさせない」ただ叱るだけでは悪循環に陥ります。あなたは北風になっていないでしょうか。
「できることをほめる」「ささいなことでも役割を担ってもらう」「失敗しないよう手助けをする」「本人の意思や長年の習慣を尊重する」「ポジティブになれる声かけをたくさんする」認知症のお年寄りに接するには、北風でなく太陽になってあげることです。
相続が本当の争いに発展してしまったら、互いが北風を吹きまくり、太陽など入る余地はありません。最後は弁護士が法律で処理するしかありません。相続が裁判になってしまったら、兄弟の縁は切れてしまい、勝っても負けても不幸になります。
が、本当の相続争いは少ないです。多くは自分達の努力で、まだ解決できる兄弟喧嘩のレベルです。相続で兄弟の縁を切らせないためにも、北風でなく太陽での対応が求められます。
退職後
人は退職後の生き方こそ、その人の真価だといってよい。
退職後は、在職中の三倍ないし五倍の緊張をもって、
晩年の人生と取り組まねばならぬ。
[ 森信三 一日一語 ] より
退職後こそ社会に役立つことがたくさんあります。
お酒
お酒は利き酒の飲み方にかぎる。
同時にそこには、すべて物事の味を噛みしめる秘訣がこもる。
[ 森信三 一日一語 ] より
飲みすぎは注意です。
読書
読書は実践への最深の原動力
[ 森信三 一日一語 ] より
読書を活かしたいです。
分
すべて人間には、天から授けられた受もち(分)がある。
随ってもしこの一事に徹したら、
人間には本来優劣の言えないことが分かる。
[ 森信三 一日一語 ] より
徹することです。
絶対基本線
すべての最低絶対基本線の確保が大事であって、
何か一つ、これだけはどうしても守りぬき、やりぬく・・・という心がけが肝要。
[ 森信三 一日一語 ] より
自分
自分を育てるものは結局自分以外にはない。
これ恵雨芦田恵之助先生の至言。
[ 森信三 一日一語 ] より
そうですね。
自分なんんです。
成年後見制度の今後 中條レポートNo250
令和4年4月から第二期成年後見制度利用促進基本計画が始まります。
普及が進んでいない現状を踏まえ、成年後見制度利用促進専門家会議から下記のような提言がされています。
➀本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容や変化に応じ後見人等を円滑に後退出来るようにすべきである。
➁必要な範囲・期間で利用できるようにするため、終身ではなく有期(更新)の制度とする見直しの機会をつくるべきである。
➀について。
原状では後見制度を利用すると、家庭裁判所が最初に選任した後見人が亡くなるまで、本人(以下意思能力が衰えて支援が必要な人を「本人」という)の後見業務を行うケースがほとんどです。
しかし、本人の状況は変化します。その時々の状況により誰が後見人として適任かも変わってくることもあるはずです。
例えば、後見開始時に法律的な問題があり解決しなければならない場合。
最初は弁護士がなり、法律問題が解決したら親族、市民後見人というような本人と関わる度合いが多く身上保護(本人が本人らしく暮らすためにどのように出来るか)がしっかり出来る者に交代することです。
但し、交代時期や交代する者が適任かどうか見極めるためどうするか等の問題も多くあります。この役割は現場がよくわかっている、促進計画の要となる中核機関が担うのでしょう。
➁について。
後見人制度は使いにくい制度だとよく言われます。
その一番の要因は一度使うと、本人が亡くなるまで使い続けなければならないことです。
例えば、お母さん(判断能力がない)の施設費用の支払いのためお母さん所有の不動産を売却するために後見制度を利用した場合。
不動産売却手続が終わったら後見が終了するわけではありません。利用目的(不動産売却)が終了してもお母さんの認知症が治るか、亡くなるまで家庭裁判所の監督下で後見制度を使い続けなえればなりません。親族が後見人になれば、後見業務の負担、専門職後見人が付けば費用の支払い負担が重くなるためです。
終身でなく有期になれば、この負担が少なくなります。
➀は制度の運用で対応出来るでしょう。(実際に今でも後見人交代をするケースはああります)但し、普及させていくためには運用基準を明確にするひつようがあります。例えば交代ありきで後見開始の審判をする。等々です。
➁に関しては私の私見ですが➀より導入のハードルは高いと思います。本人のための制度ですから、一時的に利用することが本人にメリットがあるかどうか(家族にメリットがあるかどうかでなく)後見制度の根幹にかかわる部分だと思うからです。
しかし一時利用が制度化出来たら、後見制度の利用は大幅に増えることは間違いないと思います。
専門家会議からの提言を元に後見制度が変化・普及し社会に役立つ制度となるこが望まれます。そのためには、制度運用の核となる中核機関の動向を市民が注目し市民目線で意見が出るようになることが大切だと思います。