紙屑を拾う

学校の再建はまず紙屑を拾うことから・・・。
次にはクツ箱のクツのかかとが揃うように。
真の教育は、こうした眼前の瑳事からスタートすることを知らねば、
一校主宰者たるの資格なし。
[ 森信三 一日一語 ] より

日々の心がけが大切です。

一物四価 中條レポートNo262

相続財産の中で財産評価額が不透明な代表的な財産が不動産です。

土地の価格には主に4通りあります。

・固定資産税評価額
固定資産税を算出するための基礎となる価格。

・路線価
相続税評価額を算出するための基礎となる価格。

・公示地価(基準地価)
国(都道府県)が定める土地の適正価格。

・時価
実際に売買される価格。

上記4つの中で不動産の真の価値をあらわすのは時価です。
しかし時価には問題点がいくつかあります。

一番の問題点は、実際に売却しないと時価算出が難しいことです。
時価は三者三様だからです。不動産価格を算出する専門家と言われる不動産鑑定士に依頼しても同様です。

また不動産は個性的な財産ですので、ちょっとしたことが価格に大きな影響を与えることがあります。

それ故、遺産分割で揉める場合、この時価を決めるのが一苦労となります。不動産を取得しないものは高い方有利になり(他の財産を多くもらえるため)、取得するものは低い方が有利になるからです。

他の3つの価格の関係は
公示地価×0.7 ≒ 固定資産税評価額
公示地価×0.8 ≒ 路線価
公示価格 ≒ 時価より若干低めに設定

これらの価格は公表されているため、財産評価額を算出するのは容易です。

ポイントは、相続人がそれぞれの価格の意味を理解し、どの数字を元に算定するのかを全員で合意することです。

そして、争いが激化して、裁判所にお世話になる場合は、算出が困難な「時価」となることを心得ておくことです。

相続人を幸せの道へ案内する 野口レポートNo319

野口塾の塾生に司法書士の中島 誠さんがいます。円満相続を目指し、相続人の幸せのため日々奮闘しています。修羅場もくぐってきました。熱い心を持った志を同じくする仲間です。

以下は中島さんの言葉です。

「相続問題は法律、金銭、生活、心が複雑に絡み合っています。

相続アドバイザーは相続人の幸せを求めて複雑な問題に取り組みます。相続アドバイザーに求められるものは、専門知識は勿論の事、高い人格が求められます。高い人格は汗(苦労)を正しく消化した者のみが具わる格だと考えます。

高い人格を備えた相続アドバイザーだからこそ、相続人の複雑に絡み合った心を解きほぐし、専門知識を知恵に変えて法律、金銭、生活の問題を解決し、相続人を幸せの道へ案内することができるのではないでしょうか。」

私の好きな言葉です。相続アドバイザーとして仕事の本質を語っています。この言葉は塾生が共有できるよう、野口塾のセミナールームに飾ってあります。気持ちがブレそうになった時など、これを読んで心を引き締めています。

相続人の経済的利益だけでなく、精神的利益をも守って差し上げることができる「立ち位置」にいるのが相続アドバイザーです。

◎高齢のAさんから相談を受けました。平成20年の相続の話です。士業の「ボタンの掛け違い」が原因で、問題がこじれてしまい、今日まできてしまいました。Aさんは15年間この相続問題が頭から離れず気を病んでいました。

今までの経緯や状況からして、弁護士に依頼し対応してもらうのがベストであると判断しました。

Aさんの譲る心と、家族の協力、弁護士先生方の尽力が功を奏し、調停も無事に成立し、15年間塩づけだった相続問題がようやく解決し、Aさんも安堵されたことと思います。

◎地主の息子に嫁いできたBさんからの相談です。Bさん夫婦には子がいません。夫が50代の若さで急逝しました。相続人は配偶者のBさんと夫の母親です。「先の相続(父親)で弟が取得した不動産は母親に相続させなさい。」と義姉が口を出してきました。Bさんは法律相談を渡り歩き、憔悴しきった顔で私のところへみえました。「うつ」の扉を開き、すでに片足を突っ込んでいる状態です。

3時間話を傾聴し、心の内を全部吐き出してもらいました。私の答えは「財産でなく自分の幸せを取りましょう」でした。Bさんは当時48才です。大事なことに気付き号泣し我に返りました。

いくら財産を取得しても、その後の人生を「明るく 楽しく 健康」で過ごせなければ相続の意味がありません。吹っ切れたBさんは先ほどとは別人の顔をして帰りました。ふたつの小さな相続案件でしたが、相続人を幸せの道へ案内することができました。

名・利

名・利というものは如何に虚しいものか。
しかも人間はこの肉の体の存するかぎり、
その完全な根切りは不可避といってよい。
[ 森信三 一日一語 ] より

解っていても逃れられない、人間の性なのでしょう。