野口塾は最強のネットワーク 野口レポートNo316

相続「野口塾」を立ち上げたのは平成13年でした。最初は、内藤 雄さん、西川博章さん、中條 尚さん、私と息子を含め5人でのスタートでした。奇しくも5人のイニシャルはNでした。

当時は現在のようなセミナールームもなく、狭い事務所に机をならべての寺子屋状態でした。私が学んだ専門学校の相続実務テキストを使っての勉強でした。教える方も教わる方も真剣です。

勉強が終わったあとは、近くのそば屋で一杯飲みながら相続を熱く語りあったのが、なつかしく思い出されます。

このような塾を立ち上げたきっかけは、何とも肌寒い相続の現状を目のあたりにしたからです。 ◎借金をして賃貸物件を建てることが最善の相続対策であると思い込んでいる人 ◎税理士の選択を誤り不適切な土地評価で相続税を払い過ぎてしまう人 ◎簡単にできた法務対策を怠ってしまい、何倍もの苦労を強いられている人 ◎相続を争族にしてしまい兄弟の縁を切ってしまう人、本来は幸せになるべき相続で不幸になってしまう人のなんと多いことか。

相続はほとんどの人が初めて経験します。素人にはどこへ行ったらよいのか、誰に相談すればよいのか、右も左もわかりません。そういう人に自分が行ってお手伝いをしたい。が、身体はひとつしかない、そんな時ひらめきがありました。

そうだ! 自分が学んできたもの、経験してきたもの、心の在り方など全てを伝え、自分の分身をつくろう、その人たちが相続で困っている人たちを助けてくれる。さらにまた人を育ててくれる。そんな想いが野口塾立ち上げの根源となりました。

立ち上げから21年が過ぎ、現在では、税理士3人、弁護士5人、司法書士7人、不動産鑑定士1人、不動産コンサルタント2人、行政書士3人、土地家屋調査士2人、社会保険労務士2人、中小企業診断士1人、社会福祉士3人、精神保健福祉士2人、介護支援専門員1人、老人ホーム役員1人、総勢30人を超える塾生を擁する相続実務家集団へと進化しました。

専門知識だけでなく、資格に見合った人格の形成を目指し共に学び共に教えています。気心の知れた塾生は最強のネットワークです。

資格で飯が食える時代は終わりました。法律や金銭に人の心が複雑に絡んでくる相続は、知識や技術だけではできません。相続人の心をコンサルティングできる高い人格が求められます。

野口塾で切磋琢磨し、技と心を磨いた塾生が相続人の精神的利益をも守ることのできる真の実務家として、相続で不幸になってしまう人を1人でも減らし、誰からも尊敬される人間に成長してくれたなら、塾長としてうれしいかぎりです。

コロナ禍で休会し、3年になってしまいました。学んだあとの懇親会も、情報交換やコミュニケーションの場として実に有意義で楽しい時間です。早く再開できることを待ち望んでいます。

奉仕

人間は
(一)職業に対する報謝として、後進のために実践記録を残すこと。
(二)この世への報謝として「自伝」を書くこと。
随って自伝はその意味からは一種の「報恩録」ともいえよう。
(三)そして余生を奉仕に生きること
これ人間として最低の基本線であって、お互いにこれだけはどうしてもやり抜かねばならぬ。
[ 森信三 一日一語 ] より

ハキモノを揃える

地上の現実界は多角的であり、かつ錯雑窮まりない。
随って何らかの仕方で常にシメククリをつけねば仕事は進まない。
そしてそれへの最初の端緒こそハキモノを揃えるしつけであって、
それはやがて又、経済のシマリにもつながる。
[ 森信三 一日一語 ] より

普段の生活からです。

名利

名利の念を捨てることは容易ではないが、それはとにかくとして、
少なくとも名利というものが
絶対的でない事を知らせて下すった方こそ、
真に「開眼」の師というべきであろう。
[ 森信三 一日一語 ] より

名利は空しいものだと気付くこと。

親への孝養

親への孝養とは、
単に自分を生んでくれた一人の親を大事にするだけでなく、
親への奉仕を通して、
実は宇宙の根本生命に帰一することに外ならない・・・。
これ藤樹先生のいわゆる「大孝」の説であり、
これを今日の言葉でいえば、まさに「孝の形而上学」というべきであろう。
[ 森信三 一日一語 ] より

善人意識

善人意識にせよ、潔白さ意識にもせよ、
もしそれを気取ったとしたら、
ただにイヤ味という程度を越えて
必ずや深刻な報復を免れぬであろう。
[ 森信三 一日一語 ] より

注意すべきことです。

実務講座 中條レポートNo257

私が所属するNPO法人相続アドバイザー協議会(以下「SA協議会」という)で今秋から相続の実務講座を開始します。

受講出来るのは、SA協議会が開催している相続アドバイザー養成講座(以下「SA養成講座」という)を受講し会員(一定の講座数以上受講が条件)になった方です。
「SA養成講座で相続の知識を学んだけれど、実務で活用出来ない」
という会員さんの声を元に創りました。

弁護士でない相続アドバイザー(以下「SA」という)は依頼者の代理人として他の相続人と折衝することは出来ません。又、税理士でない相続アドバイザーは税額計算、申告等は出来ません。
「弁護士・税理士でないSAは出来ることはないんじゃないか」
という声が聞こえてきます。
しかし、そんなことはありません。

それでは、SAは何が出来るのでしょうか。

SAの役割は相続の全体像を見て、何が問題になるかを把握し手続を進めていくことです。そのためには次のことが重要です。

➀正確な知識を元に相続人間で話し合えるようにする。
インターネット等で頭に入る情報は自信の都合のよい情報に偏りがちです。正しい知識で話会うことが重要です。

➁相続人同士で直接話し感情的になり話が進まなくなることを防ぐ。
SAは相続人間の緩衝材となりえる存在です。そのためには聴く力が必要です。

➂上記の役割を果たして出来上がった遺産分割協議書を元に手続をすすめる。
同じ分け方の遺産分割(例えば兄弟均等に分ける)でも手続の方法はいく通りかあります。相続人の状況、財産の状況により最善の手続方法を選択し、実行していきます。

上記の役割を果たすためには、SA養成講座で学ぶ知識は欠かせません。正確な知識を伝え、どんなことが問題になるかを察知するためです。
そして実務講座では得た知識を使って問題点を把握し手続を進めていく方法をお話していきます。

学んだことを実務に活かせないと、仕事にならず、社会のお役たてません。
私も講師の一人です。経験をもとに出来る限りのお話をさせて頂きます。

振り子の原理 野口レポートNo314

金太郎飴はどこを切っても同じ顔が出てきます。嘘をつかず、見栄をはらず、背伸びをせず、ブレることもなく、有りのまま正直に生きていく、一番楽チンな生き方かも知れません。

50歳を機に人生の後半を、相続一筋に一生懸命歩んできました。今でこそ相続では名を知られていますが、転業当初は元GSマンのイメージが強く、あまり相手にしてもらえませんでした。

ワンストップサービスを看板に、これまでに数多くの相続を丁寧に手掛けてきました。お蔭で多くのお客様から感謝されています。

相続は人生のなかで避けて通れません。遺産分割の話しあいで一歩譲った人は、その後に運とツキに恵まれ幸せになります。欲得を通しうばった人は、その後に大事なものを失います。この不思議な事実が「振り子の原理」であると知りました。

「入ったものは出る、出たものは入る」「取れば取られる、与えれば与えられる」「降った雨は水蒸気となり天へ帰り、雲となって再び地表に降り注ぐ」「潮は干満する」「吐く息があれば吸う息がある」

右に振られた振り子の錘は必ず左に振り返します。物事はこの振り子のように、相反する2つの方向に動いていて発する方と還る方に連動しています。これが「振り子の原理」です。原理とは一定の条件の下でいつも変わらず成立する関係です。

その昔エリートたちが競って就職した銀行や証券会社は、栄華をきわめました。が、儲けることばかりを考えていると、いつかは衰退し朽ち果てます。栄枯盛衰も「振り子の原理」です。

バブル期、玄人や素人までが入り乱れ、株や土地投機、儲かった!泡よろこびもつかの間、バブル崩壊でアッという間に無一文です。株や土地を恨んでもしかたありません。すべて自己責任です。

相続は恨み辛みが出る最たるものです。恨み辛みはどこかで断ち切らねばエンドレスとなり延々と続きます。

ある相続で隣接地主に協力を求めにいくと、奥様から「お父さんの恨みは私が相続します」と拒否されました。ご主人が生前に境界問題で辛い思いをさせられたそうです。恨みは連鎖し元に還ります。

江戸時代には親の恨みをはらす仇討ちが「仇討免許状」のもと、公然と認められていました。しかし、仇討の仇討は恨みの連鎖を防ぐため禁じられていました。

人を恨んでいたり、嘘をついたり、騙したり、不幸を与えたりすれば、必ずやどこかで我が身に還ってきます。

「うばいあえば足らぬ わけあえばあまる うばいあえば憎しみ

わけあえば安らぎ」この言葉(相田みつを)は、正に「振り子の原理」ではないでしょうか。

遺産はご先祖様や親が苦労し残してくれたものです。うばいあえば一族の不幸せ、しいては国の力を弱めます。感謝の気持ちと譲る心を持って臨むなら相続人は皆幸せになるでしょう。