友情

友情とは、年齢がほぼ等しい人間関係において、
たがいに相手に対して、親愛の情を抱くことであるが、
友情ほどこの世の人間関係の内で、味わい深いものはない。
そして友情において大事なことは、常に相手に対して、
「その信頼をうら切らない」という一事に尽きる。
[ 森信三 一日一語 ] より

「信頼をうらぎらない」という一事。

言葉

古来傑出せる人ほど、コトバの慎しみは特に重視せしものなり。
良寛には「戒語」が四通りもあり、
その内最大なるものは、八十箇条にものぼれど、
そのすべてが言葉に関する戒めなり。
また葛城の慈雲尊者は、「十善法語」の十戒中、
言葉の戒めが、四箇条を占める。
以って古人の言葉に対する慎しみのいかに深きかを知るに足らん。
道元も曰く「愛語よく回天の力あるを知るべきなり」と。
(注※四箇条とは(一)不妄語(二)不綺語(三)不悪口(四)不両舌)

森信三「一日一語」より

言葉は重要です。

相続税の計算方法 中條レポートNo251

日本の相続税の計算方法はちょっと変わっています。

変わっているのは、誰がどれだけ財産を取得したかにかかわらず、相続税の総額を計算するところです。
総額が計算出来ると、その税額を各相続人が取得した財産の割合で按分します。

具体的に計算してみましょう。
ご主人が亡くなり、相続人が妻と子供長男、長女の二人。相続課税価格1億円。
妻が6,000万円(6/10)、長男が3,000万円(3/10)、長女が1,000万円(1/10)取得したとします。

まず、1億円を誰がどれだけ取得したかに関係なく、法定相続分で取得したとして相続税を計算します。
法定相続分は 妻1/2 長男1/4 長女1/4
相続税は1億円-基礎控除4800万円(3000万円+600万円×3)=5200万円
に対して課税されます。

この5200万円を妻が1/2の2,600万円 長男長女が1/4の1,300万円取得したと仮定し各々の相続税を計算します。(ここが変わっているポイントです)
それぞれの税額は妻が340万円 長男長女は各々145万円。(計算省略)

上記の合計額630万円の相続税を各々が相続した割合で按分します・
妻 630万円×6/10=378万円
(妻には税額の特例がありますので相続税は0円となります。(計算省略))長男 630万円×3/10=189万円
長女 630万円×1/10=63万円

ドイツやフランスのように相続人がどれだけ財産を取得したかで、それぞれの相続人に課税する国と、アメリカやイギリスのように亡くなった方の遺産の総額で相続税を課税する国があります。

日本は二つの方法の折衷ともいえる、仮に法定相続分で分けたと仮定して相続税を計算しています。
それぞれ一長一短です。大切なのは特徴を正確に把握し遺産分割をすることです。

北風と太陽 野口レポートNo307

「北風と太陽が、力を争っていました。旅人の着物を脱がせ裸にした方が勝ちだということになり、北風は烈しく風を吹きつけました。吹けばふくほど旅人は着物を押さえます。太陽はほどよく照りつけ、徐々に暑さを増していきました。旅人は次々に着物を脱ぎ始め最後には裸になりました。」有名なイソップ物語の話です。

私の事務所は自社ビルの管理事務所を兼ねています。以前は隣がお弁当屋さんでした。従業員のおねえさんから相談を受けました。外壁に設置してあるガス湯沸かし器のコンセントを子ども達が抜いてしまい、その度に仕事が中断し、いくら注意しても聞いてくれず困っているとのことでした。駐車場が併設してあり、子ども達にはかっこうの遊び場です。どうも問題の主は小学生のようです。湯沸し器の横に目線に合わせ、次のようなメッセージを貼りました。

「元気なぼくたちへ おねがい ここのコードは抜かないでね お弁当屋さんの おばさんと おねえさんが いっしょうけんめい お弁当を作っています コードが抜けてしまうと お弁当が作れません おばさんや おねえさんが 困ってしまいます コードを抜かないと 管理人のおじさんと 約束しましょうね。」

いくら注意しても叱っても止まらなかったイタズラが、その日を堺にピタリと止まり、それ以来苦情は一度もありません。

ある地方では認知症になったお年寄りのことを「おじいちゃん(おばあちゃん)は、子供にかえってしまったなあ~」と言うので「二度童子(にどわらし)」と呼んでいるところがあります。

何と思いやりに満ちたあたたかな呼び方でしょう。赤ちゃんと認知症になったお年寄りの行動は似ています。赤ちゃんは成長過程だから誰からも文句を言われず笑って見ていられます。お年寄りの「二度童子」となると、実際に直面する現実の厳しさが心での受け入れを難しくしてしまいます。

 認知症になると「叱りつける」「命令する」「役割を取り上げる」「何もさせない」ただ叱るだけでは悪循環に陥ります。あなたは北風になっていないでしょうか。

「できることをほめる」「ささいなことでも役割を担ってもらう」「失敗しないよう手助けをする」「本人の意思や長年の習慣を尊重する」「ポジティブになれる声かけをたくさんする」認知症のお年寄りに接するには、北風でなく太陽になってあげることです。

相続が本当の争いに発展してしまったら、互いが北風を吹きまくり、太陽など入る余地はありません。最後は弁護士が法律で処理するしかありません。相続が裁判になってしまったら、兄弟の縁は切れてしまい、勝っても負けても不幸になります。

が、本当の相続争いは少ないです。多くは自分達の努力で、まだ解決できる兄弟喧嘩のレベルです。相続で兄弟の縁を切らせないためにも、北風でなく太陽での対応が求められます。

退職後

人は退職後の生き方こそ、その人の真価だといってよい。
退職後は、在職中の三倍ないし五倍の緊張をもって、
晩年の人生と取り組まねばならぬ。
[ 森信三 一日一語 ] より

退職後こそ社会に役立つことがたくさんあります。