すべて人間には、天から授けられた受もち(分)がある。
随ってもしこの一事に徹したら、
人間には本来優劣の言えないことが分かる。
[ 森信三 一日一語 ] より

徹することです。

成年後見制度の今後 中條レポートNo250

令和4年4月から第二期成年後見制度利用促進基本計画が始まります。

普及が進んでいない現状を踏まえ、成年後見制度利用促進専門家会議から下記のような提言がされています。

➀本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容や変化に応じ後見人等を円滑に後退出来るようにすべきである。
➁必要な範囲・期間で利用できるようにするため、終身ではなく有期(更新)の制度とする見直しの機会をつくるべきである。

 ➀について。
原状では後見制度を利用すると、家庭裁判所が最初に選任した後見人が亡くなるまで、本人(以下意思能力が衰えて支援が必要な人を「本人」という)の後見業務を行うケースがほとんどです。

しかし、本人の状況は変化します。その時々の状況により誰が後見人として適任かも変わってくることもあるはずです。

例えば、後見開始時に法律的な問題があり解決しなければならない場合。
最初は弁護士がなり、法律問題が解決したら親族、市民後見人というような本人と関わる度合いが多く身上保護(本人が本人らしく暮らすためにどのように出来るか)がしっかり出来る者に交代することです。

但し、交代時期や交代する者が適任かどうか見極めるためどうするか等の問題も多くあります。この役割は現場がよくわかっている、促進計画の要となる中核機関が担うのでしょう。

➁について。
後見人制度は使いにくい制度だとよく言われます。
その一番の要因は一度使うと、本人が亡くなるまで使い続けなければならないことです。

例えば、お母さん(判断能力がない)の施設費用の支払いのためお母さん所有の不動産を売却するために後見制度を利用した場合。

不動産売却手続が終わったら後見が終了するわけではありません。利用目的(不動産売却)が終了してもお母さんの認知症が治るか、亡くなるまで家庭裁判所の監督下で後見制度を使い続けなえればなりません。親族が後見人になれば、後見業務の負担、専門職後見人が付けば費用の支払い負担が重くなるためです。
終身でなく有期になれば、この負担が少なくなります。

 ➀は制度の運用で対応出来るでしょう。(実際に今でも後見人交代をするケースはああります)但し、普及させていくためには運用基準を明確にするひつようがあります。例えば交代ありきで後見開始の審判をする。等々です。

➁に関しては私の私見ですが➀より導入のハードルは高いと思います。本人のための制度ですから、一時的に利用することが本人にメリットがあるかどうか(家族にメリットがあるかどうかでなく)後見制度の根幹にかかわる部分だと思うからです。
しかし一時利用が制度化出来たら、後見制度の利用は大幅に増えることは間違いないと思います。

専門家会議からの提言を元に後見制度が変化・普及し社会に役立つ制度となるこが望まれます。そのためには、制度運用の核となる中核機関の動向を市民が注目し市民目線で意見が出るようになることが大切だと思います。

全血兄弟・半血兄弟 野口レポートNo306

5年前にご主人を亡くし、子どもがなく一人暮らしの奥様が亡くなりました。第3順位の相続で奥様の兄弟姉妹が相続人となります。

3人が山口県、1人が佐賀県に住んでいます。末弟(Aさん)が上京し、葬儀や遺品整理など一切を済ませ山口に帰りました。遺産のマンション売却と相続手続きを一括してできるところを紹介してほしいと、葬儀社が頼まれ私を紹介してくれました。

Aさんはすでに山口に帰ってしまい、紹介されたあとは電話と郵便でのやり取りです。一度もお会いしたことはありませんが、私を信頼し全てをまかせてくれました。

相続人の確定をしてみると、父親は離婚し先妻に長男を託し再婚し、後妻との間に4人の子供がいます。被相続人を除き山口在住で両親を同じくする兄弟(全血兄弟)が3人、佐賀在住で父親のみを同じくする兄弟(半血兄弟)が1人、相続人は4人です。

半血兄弟の相続分は全血兄弟の1/2です。それでは各相続人の相続分を出してみましょう。①全血兄弟と半血兄弟全員の人型を書いてください。②全血兄弟の前に団子を2個置きます。③半血兄弟の前には団子を1個置きます。③全部の団子の数(7個)が分母になります。各相続人の前にある団子の数が分子となります。相続分は全血兄弟が2/7で、半血兄弟は1/7となります。

労の多かったAさんがマンションを取得し、費用を全て差し引き残ったお金は全員に各相続分で分配することを提案しました。

この種の相続は先妻の子と後妻の子の人間関係の良しあしが遺産分割に影響してきます。半血兄弟とは疎遠でほとんど付き合いがな  かったそうです。これは「まずいな」と思いました。

 「どこの馬の骨か分からない奴に任すことなどできるか」と言っていた半血兄弟の長男ですが、最後は誠意が通じ、心をひらいてくれました。そして奥様の相続は無事に終了しました。

ところがやっかいな問題が残りました。マンションは亡くなったご主人との共有になっています。まだ、相続手続きをしていません。この相続を処理しなければマンションは売却できません。

相続人はご主人の兄弟姉妹が6人で全員が北海道に住んでいます。ご主人が亡くなった瞬間に3/4が奥様に移っており、相続人は全部で10人です。奥様側の兄弟はAさんに譲り、相続分を放棄しましたが、ご主人側の兄弟は全員が相続分を主張してきました。

Aさんが共有持分を取得し、代償金をご主人の兄弟に払うことで話はまとまりました。あとはマンションを売却し一件落着です。

カモはスイスイと優雅です。が、外から見えぬ水面下では激しく足を動かしています。相続実務もさりげなく見えます。しかし、外から見えぬ水面下では多くのエネルギーを消耗します。

案件が無事完了した時は、近くのそば屋で充実感と疲れが混じった身を癒します。この時に一人飲むお酒の味は格別です。

教育

学校の再建はまず紙屑を拾うことから・・・。
次にはクツ箱のクツのかかとが揃うように。
真の教育は、こうした眼前の瑳事からスタートすることを知らねば、
一校主宰者たるの資格なし。
[ 森信三 一日一語 ] より