信とは、いかに苦しい境遇でも、
これで己の業が果たせるゆえんだと、
甘受できる心的態度をいう。
[ 森信三 一日一語 ] より

これを持っている人はぶれません。

 

名・利

名・利というものは如何に虚しいものか。
しかも人間はこの肉の体の存するかぎり、
その完全な根切りは不可避といってよい。

[ 森信三 一日一語 ] より

「名・利」は虚しいものですが、
どこかで、しがみついてしまいます。

常識と法律 中條レポートNo249

遺言とは
「相続人の間に不平等を持ち込む仕事」
と先月号で書かせて頂きました。その理由の補足です。

 相続実務に携わるとき戒めている言葉です。
「法律と常識が一致するとは限らない。そして常識は法律に勝てない。
法律のなかで生じたもめ事は法律で解決すればよし。
ところが多くのもめ事や問題は常識の中で生じている。
常識の中で生じたものを法律で解決すると心にシコリが生じる。
この認識を持つことは実務家として大切」

「常識の中で生じたもの」とは下記のようなことです。
親の面倒を献身的にみた長男と、そうでない次男がいる。
親は長男に多く財産を相続させたいと思う。

次男が「お兄ちゃんは親の面倒をみたのだから、財産さくさん相続しなよ」
と言えば、常識の中で解決するのでシコリは残りません。しかし次男が二分の一欲しいと主張すれば、法律が勝ちますので次男の言う通りとなります。

上記の問題を「法律で解決する」とは、
生前に親が長男に多くの財産を相続させる遺言書を書くことです。
遺言を作成すると「心にシコリが生じる」ことがあります。

だから、我々アドバイザーは
「相続人の間に不平等を持ち込むが不公平であってはならない」※
こと常に念頭にいれ、公平な遺言書作成のお手伝いを心がける必要があるのです。それが「心のしこり」を少しでも和らげることになるからです。
アドバイザーの役割が重い所以です。

※平等と公平の違い:お年玉をあげる場合、小学生、高校生、大学生に同じ金額を渡すのが平等。年齢に応じて金額を変えて渡すのが公平。

相続と三尺箸 野口レポートNo305

「地獄でも極楽でも、食卓にはたっぷりのご馳走が用意されている。ただし、どちらの住人も、三尺(約90センチ)の箸を使って食べなければならない。地獄の住人は、先を争って長い箸で口に入れようとするが、届くはずもなく飢えてやせ細る。

極楽の住人を見れば、長い箸でご馳走をつまみ、向い合う人の口に、どうぞと食べさせている。互いに与え合い、楽しく満ち足りた心持ちで暮らしている。」三尺箸と呼ばれる仏教説話です。

◎この三尺箸を相続に置き換えてみました。

『食卓には親が残した、たっぷりのご馳走(遺産)が用意されている。相続人は、三尺の箸でこのご馳走を食べなければならない。

ある相続人は、親が残してくれたご馳走は「当たり前」だと思っている。感謝の気持ちなど全くない。先を争って長い箸で口に入れようとするが、届くはずもなく身も心も荒んでくる。

 ある相続人は、親が残してくれたご馳走は「ありがたい」と思っている。感謝の気持ちがあるから譲ることができる。

長い箸で他の相続人に、どうぞと食べさせてあげる。こちらが譲るから、相手もどうぞと食べさせてくれる。互いが譲り合うから、楽しく満ち足りた心持ちになり、幸せに暮らすことができる。』相続の三尺箸と呼んでいる野口説話です。

我欲で三尺箸を使ったら、相続人は幸せになれません。まして奪い合ったら、兄弟姉妹の縁は切れてしまいます。相続が原因で切れた縁は、元に戻ることはありません。

ところが、長い間切れていた兄弟姉妹の縁が、相続をきっかけとして元に戻ることが稀にあります。

父親が亡くなり長女(Aさん)から相続手続きの依頼を受けました。遺産は預貯金と自宅です。相続人は母親と子どもが4人です。

相続人の一人である弟は、30年間行方不明です。一人でも欠けたら相続の手続きはでません。疎遠になった原因は弟にあり、すでに兄弟姉妹達は縁を切っているとのことでした。

戸籍を追うと弟は広島にいることが判明しました。弟に相続人である旨の手紙を出しました。広島から電話が入りました。母親と同居し世話をしているAさんが遺産を相続することで、他の相続人とは、すでに合意していることを弟に伝えました。

 数回のやり取りのあと、弟は気持ちよくハンコを押してくれました。弟の対応を知ったAさんは、昔のことは忘れると言ってくれました。互いが、三尺箸を上手に使ったのです。

 相続手続きも終わり、Aさんに広島へお礼の電話を入れてくれるようお願いしました。弟はとてもよろこんでくれたそうです。Aさんは他の兄弟とも相談し、弟を父親の一周忌に呼ぶそうです。

不思議な力を感じることがあります。兄弟姉妹の縁が戻ったのも、亡き父親が導いてくれたような気がしてなりません。

しつけ

しつけの三大原則
一、朝のあいさつをする子に・・・。
それには先ず親の方からさそい水を出す。
二、「ハイ」とはっきり返事のできる子に・・・。
それには母親が主人に呼ばれたら必ず「ハイ」と返事をすること。
三、席を立ったら必ずイスを入れ、ハキモノを脱いだら必ずそろえる子に・・・。
[ 森信三 一日一語 ] より

このしつけがしっかり出来れば日本は大丈夫です。