日本民族の使命 中條レポートNo283

森信三先生(平成4年96歳没)は「日本民族の使命は、将来の東西文化の融合に対して、その縮図的原型を提供する処にあるであろう」と語りました。

この言葉は、日本が西洋と東洋の架け橋として、新しい価値を創造する役割を果たすべきことを示唆しています。現代社会は、技術革新とグローバル化が進む中、多様な文化が交錯し、調和が求められる時代です。

その中で、日本が持つ文化的特性や精神性は、調和の手本として国際社会に貢献する力を秘めています。

また、森信三先生は「日本が立ち直るのは2025年から」と予見し、「その時には二宮尊徳先生の教えに準拠せねばならぬ」と述べています。

これは、バブル崩壊後の経済的混乱を背景に語られた言葉であり、単なる経済再生ではなく、精神的な基盤を取り戻す必要性を強調したものと考えられます。

二宮尊徳先生の教えである「勤勉」「分度」「推譲」は、現代にも通じる実践哲学です。勤勉は地道な努力、分度は資源の適切な活用、推譲は社会への還元を意味し、格差問題や環境課題の解決にも役立つ普遍的な価値観を提供します。

森信三先生が2025年を重要な転機と捉えたのは、こうした価値観を再評価し、日本が新しい基盤を築く時期として位置づけたからでしょう。

単なる経済成長を超え、日本が「東西文化の融合」を先導する役割を果たす準備を整える年と見たのです。

日本は、西洋の科学技術や合理主義を取り入れつつも、東洋の精神性や調和を重視する独自の文化を持っています。この調和の力が、国際社会における対話や共存の鍵を握っています。

森信三先生が語った「縮図的原型」とは、日本がそうした役割を果たすことへの期待を込めた言葉だったのです。

2025年以降、日本は経済的成功だけでなく、東西文化の融合を通じた国際貢献を目指すべきです。それは、森信三先生が説いた使命の実現であり、日本が果たすべき歴史的な役割です。
一人ひとりがその意識を持ち、未来を創る行動を始めることが求められます。

※東西文化の融合とは

 文化や歴史の違いがある民族同士が互いに尊重し合うことは非常に重要です。しかし、他国で暮らす際には、その国の文化や歴史を理解し、それに合わせて生活することが必要だと考えます。長い歴史を持つ異なる文化を無理に混合して共に暮らすことは簡単ではありません。

他国で生活する際にその国の文化を尊重することで、相手もまた自国の文化を尊重してくれるでしょう。このような相互の敬意と理解こそが、真の文化融合であると思います。

心に残る相続案件《2》 野口レポートNo339

「お産に耐えた母親の、同じお腹から生まれてくる。そして誰もがスッポンポン。」だから兄弟姉妹と呼べるのです。

まして2人姉妹なら、姉と呼べるのも妹と呼べるのも、この広い世界にたった1人だけ、親が残した財産をめぐり2人が争ってしまったら、これほどの不幸はありません。

知人を介し相談を受けました。相談者は女性で高齢のAさんです。10数年前に母親が亡くなり、まだ相続手続きをしていません。

遺産は老朽マンション1室(1K風呂なし)だけです。相続人は数10年間疎遠で父親の異なる妹のBさん1人とのことでした。

調べてみると妹さんの最後の住所は新潟県になっていました。連絡を乞う手紙を出しました。ダイレクトメールと間違えられゴミ箱へ捨てられないように《○○様相続の件》と明記します。最初に出す手紙は大事です。書き方次第でその後に影響します。

1週間ほどで妹さんから電話が入りました。事情の説明にお伺いしたい旨を伝え、新潟へ出向きました。妹さんは姉が数10年間連絡をくれなかったこと、母親が亡くなったのを知らせてくれなかったこと、誤解も重なり何を今更と立腹しています。

このまま放っておいたら、子どもや孫の代まで憂いが残ってしまうと、妹さんに重ねて協力をお願いしました。

姉がマンションを相続し、その代償として妹さんが代償金を受け取ることで合意しましたが、その後がまとまりません。

老朽マンションとはいえ、地方からすれば東京の不動産です。価値の認識にズレが生じ、代償金の額で意見が合いません。しかたなく時間を置くことにしました。半年後に妹さんに電話を入れてみました。このままでは母親が成仏できないからと譲ってくれました。

姉には会いたくない、判子は押すから野口さん1人で来てほしいとのことでした。この仕事の目的は数10年も疎遠であった異父姉妹の縁を戻して差し上げることです。この機を逃してしまったら二度とチャンスはないでしょう。ここは一歩も譲れません!

ようやく妹さんに理解いただき姉と一緒に新潟に行きました。タクシーを降りると妹さんが門前に打ち水をしていました。こちらがお姉さんですよ、こちらが妹さんですよ、と紹介しました。

やはり血のつながりです。戸惑いながらも嬉しそうな妹さんの表情が印象的でした。まさに数10年目の橋渡しです。

相談を受けてから終わるまで1年半かかりました。わずかな財産でしたが母親が残してくれたから、姉妹の縁が戻ったのです。天国の母親も喜んでいることでしょう。

手間暇を考えたらできない仕事でした。「徳」この見えない報酬が天に蓄えられ、神様は帳尻を合わせにやってきてくれます。

やってよかった、いってよかった、小さな相続案件でしたが、大きな仕事を成し遂げた気分で新潟を後にしました。

世界史

世界史は結局、巨大なる「平衡化」への展開という外なく、
わたくしの歴史観は「動的平衡論」の一語につきる。
すなわち「動的平衡論」とはこの宇宙間の万象は、
すべてこれ陰(マイナス)と陽(プラス)との
動的バランスによって成立しているということである。
[ 森信三 一日一語 ] より

日本民族の使命

日本民族の使命は将来の東西文化の融合に対して、
いわばその縮図的原型を提供する処にあるであろう。
[ 森信三 一日一語 ] より

森信三先生は生前(1992年96歳没)
「日本が立ち直るのは、2025年からだろう
そしてそれは、二宮尊徳先生の教えに
準拠せなばならぬでしょう」
と言われています。
亡くなられたのが32年前ですから、バブル崩壊後の言葉だったのでしょう。
日本が立ち直るだけでなく、東西文化の融合まで視野に入れていたのでしょう。

一芸一能

すべて一芸一能に身を入れるものは、その道に浸りきらねばならぬ。
躰中の全細胞が、画なら画、短歌なら短歌にむかって、
同一方向に整列するほどでなければなるまい。
[ 森信三 一日一語 ] より

真知

知っていて実行しないとしたら、
その知はいまだ「真知」でない・・・との深省を要する。
無の哲学の第一歩は、実はこの一事から出発すべきであろうに・・・。
[ 森信三 一日一語 ] より

嫉妬心

嫉妬は女にのみ特有のことではなく、
男女に共通する最深の罪といってよい。
そしてそれは結局、自己の存立がおびやかされる事への危惧感であって、
いかに卓れた人でも、事ひと度自己の専門に関する事柄ともなれば、
いかに隠そうとしても嫉妬心が兆す。
[ 森信三 一日一語 ] より

渉外相続 中條レポートNo282

渉外相続とは、相続人または被相続人が外国籍の場合や、相続財産が複数の国にまたがる場合に適用される相続手続きです。

この手続きでは、日本国内の法律だけでなく、外国の法律や国際的な取り決めも関わるため、通常の相続手続きに比べて複雑になることが多いです。

たとえば、相続財産が日本国内に存在し、被相続人が外国籍で相続人が日本国籍の場合、日本の国際私法では、原則として被相続人の国籍国の法律が相続に適用されますが、財産の所在地国の法律(つまり日本法)が優先されるケースもあります。このように、相続が絡む国の法律を確認しながら手続きを進める必要があります。

日本国内に相続財産があり、被相続人が日本国籍、相続人が外国籍の場合は、相続手続は日本の法律で行います。
相続人の国で必要となる書類や、遺産分割協議書への署名捺印(実印)・印鑑証明に代わる書類の準備など、手続きが煩雑になることが多いです。

また、相続税の面でも複雑な状況が生じます。
日本国内にある財産については、日本の相続税が課されますが、相続人や被相続人が外国籍の場合、相続税の取り扱いが変わる可能性があります。
たとえば、相続人が外国籍の場合、相続人の居住国でも相続税が課されることがあり、二重課税の問題が生じることがあります。
こうした場合、二重課税防止条約に基づき税金の調整が行われることもあります。

さらに、渉外相続では財産の移転も一つの重要な課題です。
日本にある財産を外国籍の相続人が取得する際には、その財産を相続人が居住する国に移転するための手続きが必要です。

移転手続きには、現地の資産を預けている金融機関等の制度や、その国の法律等、手続きをスムーズに行うことに支障が出ることが多いので、制度の理解と経験が重要なポイントとなります。

渉外相続は国内外の法律や制度が絡み非常に複雑です。
事前にしっかりと準備することが、スムーズな相続手続きの鍵となります。

優しさのなかに一筋の強さを 野口レポートNo338

NPO法人相続アドバイザー協議会が主催している「相続アドバイザー養成講座」があります。相続をあらゆる分野から網羅したもので、1講座2時間で20講座(現在は18講座)あります。その第1講座の講師を20年間つとめました。

受講者は受講料を払い時間を使って講義を受けにきています。第1講座の出来がよければ、申し込んでよかったと思うでしょう。

もし出来が悪ければ、こんなレベルかと裏切られた思いを感じ学習意欲が下ります。第1講座の講師はそれなりの責任があり、プレッシャーもかかります。まして当時は、協議会副理事長の要職についており、色々な意味で試されます。

土地家屋調査士で行政書士の中田隆之さんがいます。平成20年4月に養成講座を受講されました。その時のことをコラムに書いています。一部を紹介したいと思います。

『相続アドバイザー養成講座第1講座のことは今でも鮮明に覚えています。その時の第1印象は、なにやら人の良さそうな「おっちゃん」が出てきたなあ~。(そのときの素直な感想です。すいません…。)第1回目の講座だし初歩的な話をするのかな~? そんな軽い気持ちでした。しかし、「人格の伴わない資格者は人を不幸にする。そういう人は仕事をするべきではないね……。」

弁護士や税理士、司法書士といった世間では「先生、先生」とよばれている方々を前に、笑顔で言い放ったひと言は衝撃でした。

まさに、私自身の悶々としたジレンマを言い当てられたような思いでした。』 野口賢次著「譲る心と感謝の気持」より抜粋。

彼は「このひと言」で大事なことに気付きました。正しく進めばおのずと道は開けてきます。今では神奈川の測量会社ではトップクラスへと成長しました。他に相続サポートセンターや、地方都市と組んで空き家の再生なども手掛けています。まだ53才で「伸びしろ」もあり先が楽しみです。

人間には性質と性格があります。性質は持って生まれた気質です。変えることはできません。性格は感性と意志の傾向であり、努力次第で変えることができます。クラス会で久々に会った同級生の誰もが卒業当時のままである。これも変わることができない証です。

人は「優しい人」と「強い人」がいます。これは持って生まれたものです。優しさがベースにある人は、優しさのなかに一滴の強さを持つこと、強さがベースにある人は、強さのなかに一滴の優しさを持つこと、この一滴はコーヒーに入るミルクと同じです。

「優しさと強さ」「強さと優しさ」これを合わせ持つことで魅力が出てきます。魅力のない人間に相手は心を開いてくれません。

私のベースは優しさです。が、優しいだけではただの人の良い「おっちゃん」です。相続の仕事などできません。魅力ある人間であるがためにも、自分の持っている一滴の強さを磨いてまいります。

宗教

宗教とは、ある面からは現実認識への徹到ともいえよう。
そしてその場合、現実の中心を為すのはもちろん人間である。
随って人は宗教によって真の人間認識に達しうるともいえよう。
[ 森信三 一日一語 ] より