中核機関 中條レポートNo229

認知症等で意思能力が衰えた方がその人らしく生活するための成年後見制度。
この制度が、皆に役立つ制度だと感じてもらい、使いやすくするために各市町村に設置を進めているのが中核機関です。(小田原市を含む2市8町は現在未設置です)

 中核機関の役割は
➀後見制度を知ってもらう。➁必要な人に制度を利用してもらう。➂その人に適した後見人を探し結ぶ。➃後見人の支援。➄市民後見人の育成。等々。

大切なのは➁の必要な人に制度を利用してもらう役割だと思います。

原状は次のような方が多く利用しています。
「父の定期を解約したいが銀行に認知症だから後見人を付けてくれと言われた」
「認知症が進み自宅で生活を続けるのが困難である。頼るべき身寄りもない」
困ってどうしようもなくなった時に切羽詰まり利用されているのが実態です。

中核機関では、次のような人にも制度を利用してもらいたいと考えます。「まだまだ自宅で暮らせるけど、少し認知症が出てきて思うようにならない」生活が立ち行かなくなる前に、より本人らしく暮らすために利用するのです。(認知機能低下の初期段階の人が対象の後見類型の補助・保佐制度を利用)

認知症の方が500~600万人いるのに制度の利用者は約22万人です。制度を利用すればより豊かな生活が出来る方が多数いることは間違いありません。また早期に制度につながれば孤独死のような悲惨な事故は防げます。

 しかし利用者を増やすのは簡単なことではありません。
一番の原因は地域社会とつながっていない人が多いということです。つながっていれば本人の変化を周囲の人に知らせることが出来ます。(変化をキャッチする役割は地域が担います)そうすれば必要なときに必要な支援が受けられます。(つながっていること自体が支援になります)

後見制度は社会全体で担っていかなければならないと思います。地域が制度に結びつけてくれるからです。(これが出来るのが「共生社会」です)
そのために地域が連携していくためのネットワーク創りも中核機関の役割です。

相続と生命保険受取金 野口レポートNo285

生命保険受取金は契約形態により、税法上や民法上での扱いが異なってくるので注意が必要です。

パターン(A) ①契約者(保険料を払った人)⇒父 ②被保険者(保険に入った人)⇒父 ③受取人(保険金を受け取る人)⇒子。

ここでお金の流れを見てみましょう。保険料を払ったのは父です。保険会社を通していますが、亡くなった父から子がお金を受け取ったことになるので「相続税」の課税です。

パターン(B) ①契約者⇒子 ②被保険者⇒父 ③受取人⇒子。子が保険料を払い、自分が受け取るので「所得税」の課税です。

パターン(C) ①契約者⇒母 ②被保険者⇒父 ③受取人⇒子。

保険料は母が払っています。存命している母からお金を受け取ったことになるので「贈与税」の課税です。

また、パターン(A)で受け取った保険金は民法上の相続財産にはなりません。指定された受取人が固有の財産として受け取れます。相続放棄した相続人でも受け取ることができます。

◎新型コロナウイルスの感染拡大で、世の中えらいことになっています。コロナの影響で廃業や倒産に追い込まれてしまう個人商店や零細企業もあります。心労で亡くなる人もいるかも知れません。また感染し命を落とす人もいます。

 多くの個人商店や零細企業は金融機関から借入れをしています。そして配偶者や子が連帯保証人になっていることもあります。

パターン(A)の生命保険に入っており、受取人が保証人になっていたら、受け取った保険金は債権者に差し押さえられてしまいます。契約者が元気なうちに受取人を変更してください。

保証人でない子を受取人にし、相続放棄すれば債権者は手が出せません。保険金は残された家族の大切な糧になります。

◎ある母親が亡くなりました。相続人は兄と妹の2人です。母親には生前に某銀行に1500万円の預金がありました。

銀行員に言われるがまま、一時払いの生命保険に加入しました。1500万円の銀行預金が長男を受取人とした生命保険に入れ替わりました。高齢の母親には何の意図もありません。

パターン(A)の契約です。法律ではこの受取金は民法上の相続財産にはなりません。指定されている長男が受け取れます。しかし、2年前までは銀行預金です。常識で考えると本来なら兄が750万円、妹が750万円を相続することができたはずです。

このまま遺産分割をしたら妹は納得しないでしょう、兄には受け取った保険金を考慮し、財産分けすることをアドバイスしました。妹も納得し遺産分割は無事に終了しました。

法律と常識は一致するとは限りません。そして常識は法律には勝てません。また多くの争いは常識のなかで生じます。時には法律にとらわれず、常識で考えることも必要です。

感覚

感覚を新鮮にするには、
つねに異質的なものを媒介として自己を磨く必要がある。
でないと感覚はいつしか鈍磨して、
マンネリ化する傾向がある。
[ 森信三 一日一語 ] より

出来ることから

心はみえないから、
まず見える躰の方から押さえてかからねばならぬ。
それ故心を正そうとしたら、
先づ躰を正し物を整えることから始めねばならぬ。
クツをそろえること一つが、
いかに重大な意味をもつか分からぬような人間は、論ずるに足りない。
[ 森信三 一日一語 ] より

出来ることを、丁寧に。
ですね。

耳順う

「五十にして天命を知る」・・・というが、
知という限り、まだ観念的なものが残っている。
それ故「六十にして耳順う」の境に到ってはじめて
真理の肉体化がはじまるともいえよう。
[ 森信三 一日一語 ] より

知るだけでは足りないということ。

われわれ人間は「生」をこの世にうけた以上、
それぞれ分に応じて、一つの「心願」を抱き、
最後のひと呼吸までそれを貫きたいものです。
[ 森信三 一日一語 ] より

こうありたいものです。

宙ぶらりん

すべて宙ぶらりではダメです。多くの人が宙ぶらりんだからフラつくのです。
ストーンと底に落ちて、はじめて大地に立つことができて、
安泰この上なしです。
[ 森信三 一日一語 ] より

そうです。
宙ぶらりんだから落ち着かないんです。