「その時、もう完全にダメだと思ったんですよ。
椅子に座っていられなくてね。
椅子をどけて、机の下で、座禅じゃないけれど、胡坐をかいて机に背を向けて座ったんです。
終わりだっていうか、あとはもう、それこそ神様、仏様に任せるしかねぇっていうのがあってね」
「私はあの時、自分と一緒に”死んでくれる”人間の顔を思い浮かべていた」
”死の淵を見た男” の福島原発の所長吉田昌朗さんの回想録の一節です。
この後、必要最小限に人を残して退避命令がでます。
しかし決してあきらめたわけではありません。
最後まで原子炉に水を注入する覚悟でした。
人知を超えた何かが日本を救ったのかもしれません。