遺産分割協議書に決まった雛形はありません。個々の遺産分割に応じて書面を作成します。
ポイントは手続に支障をきたさないことです。
遺産分割協議書は相続人全員で合意したことを取り決める書面ですが、その書面で手続が出来ないと、合意事項が絵に描いた餅になってしまいます。
相続人全員から再び印鑑を貰わないと手続が出来ないような状況が一番危惧することです。相続という特殊な状況下では2度目の判は貰えないと心して取組むべきです。
不動産の場合、遺産の記載漏れがよくあります。
主たる土地の記載はあるが、前面道路の私道持ち分が書かれていない。登記されていない建物が書かれていない。
このような場合は未記載の不動産を再度、相続人全員で遺産分割しなければなりません。遺産分割協議書の末尾に「本書面に記載されている以外の財産はA」にと書かれていれば、上記の不動産はAに相続されます。Aが取得すべき不動産であればよいですが、Bが取得すべきものであったらさらに面倒です。
記載漏れを防ぐには名寄帳の確認や周辺土地の所有者の調査、現地での建物調査等が必要になります。
相続人を確定するためには戸籍が必要ですが、古い戸籍は保存期間徒過により廃棄され取れないこともあります。遺産分割協議書に「相続人は私たちだけです」という文言入れておけば、戸籍が揃わなくても手続が出来ます。この文言が分割協議書にないと、相続人全員から再度署名・印を貰う必要が出てきます。
被相続人所有の不動産登記簿に記載されている住所が古く、亡くなった時の住所と異なり住民票の除票や戸籍の附票では関係がつながらない場合があります。登記簿の人物と被相続人が同一人だと法務局に認めてもらうためには、権利証等が必要です。遺産分割協議書に「登記簿上の人物が被相続人である」とする文言があれば、権利証等が紛失していても手続が出来ます。
遺産分割協議書で相続手続をスムーズにすすめるためには、支障になりそうなことを事前に専門家にチェックしてもらい書面に織り込ことです。
「段取り8割」の格言はどんな仕事でも大切です。