軽減措置半減 中條レポートNo170

介護・医療に関する赤字幅拡大による国民への負担増対策が行われています。
その一つが介護保険3施設(特養・老健・介護療養型)やショートスティでの食費代・部屋代の負担軽減措置の改正です。

所得が少ない人には軽減措置がありますが以下の点が今年8月から変わります。
・預貯金等が1,000万円(配偶者無)2,000万円(配偶者有)を超えている場合は、所得に関係なく軽減措置がなくなります。
・本人及び同一世帯の方の前年の所得を基に軽減措置を判断していましたが、世帯が別でも配偶者が住民税課税所得者ならば原則軽減措置がなくなります。

妻が個室の特養に入所(所得区分第2段階)しているケースで夫に相続発生。
相続人が妻と長男・長女。相続財産 預貯金1,000万円。
妻が預貯金を相続し妻固有の預貯金と合わせて1,000万円以上になると軽減措置がなくなります。
軽減措置がなくなると月額89万円、年間100万円位の負担増になります。預金を取り崩していき1,000万円を下回れば再び軽減措置が受けられますが相当な負担増です。

上記ケースで預金でなく不動産があり共有にして売却した代金を取得した場合、妻に譲渡税が発生します。発生するのは税だけではありません。所得が145万円を超えると(他に収入基準も有)この軽減措置がなくなります。(影響は譲渡年の翌年1年間)

これらに対処する方法は
・預貯金の残額が1,000万円以上ならないように遺産分割する。
・不動産を売却する場合は、共有にして売却するのでなく、子(妻と別世帯)が不動産を相続し売却した代金から代償金で妻に支払う。(代償金は相続税の対象ですが、譲渡所得の対象とならないため軽減措置に影響がない)

負担増を避けることを重視して遺産分割をするのは本末転倒ですが、分割に支障がなければ手取り額は多い方がよいです。
介護・医療制度の財政が厳しい中、負担増は上記だけではありません。保険料の増加、70歳以上の医療費の窓口負担の増加、高額療養費・高額介護サービスの基準の引上げ等々です。負担能力がある人には相応な負担が求められます。
大切なのはこれらのことをしっかりと把握して対処していくことです。

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