死亡後の財産の所有者 中條レポートNo171

人は必ず亡くなります。亡くなったらその人の財産はどうなるでしょう。
相続人の話し合いで誰が相続するか決まるまで所有者がいない状態になるのでしょうか。

そうではありません。
民法で定められた相続人(1)が法定相続分(2)の割合で所有することになります。
(※1)相続人 その人が亡くなったらその人の財産を取得できる人。
(※2)相続分 個々の相続人が亡くなった人の財産を取得する割合。

母親亡くなった後、暫くして相続人全員(長男・長女)で話合い(遺産分割協議)した結果、長男が甲土地を取得することになりました。
この場合、甲土地は母親が亡くなった後、一旦長男・長女が二分の一ずつ所有してから、その後長男が単独で所有することになるのでしょうか。

そうではありません。
遺産分割協議で話合いが決まると、その効力は母親が亡くなった時に遡って発生します。長男は母親が死亡してからずっと甲土地を所有していたことになります。

それでは、この土地を駐車場に貸していたとします。
遺産分割協議で長男が取得することが決まったら、長男は母親が亡くなった時から所有していることになるから、母親が亡くなった後の賃料は長男が取得するのでしょうか。

そうではありません。
遺産分割協議が終了するまでの賃料は長男・長女に法定相続分の割合(二分の一)で帰属します。(平成179月最高裁)しかし、長男・長女で話合い長男が賃料全てもらうことを決めれば話合いが優先します。

「長男に甲土地を相続させる」という遺言があった場合はどうなるでしょう。
この場合、母親が亡くなった瞬間に長男が甲土地を相続し、賃料も長男が相続開始時より取得することになります。遺言が死後、しばらくしてから発見されても同様です。

このように法律では相続開始後の所有者を定めています。このようなことを考えて財産分けをすることはないでしょうが、知っておくと知識の整理になります。

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