不動産 中條レポートNo172

相続財産の中で大きな割合を占める不動産。
同じ不動産は世界中探してもありません。それほど個性的な財産です。
だからその個性を正しく把握する(自分の不動産はよく見える)必要があります。

不動産は捨てられません。
売ることは出来ますが、ただでも売れない不動産が年々増えています。
無価値な不動産でも義務・管理責任を負わされます。

代表的なものが固定資産税・都市計画税の支払い義務。マンションであれば管理費等の支払義務。また維持管理責任があります。自分の所有する不動産で他人に損害を与えたら損害賠償責任が発生します。

これらの義務・責任を逃れるため、お金を出して買ってもらうということが当たり前の時代がくるかもしれません。

そんな不動産とは知らずに相続したら(相続させたら)どうなるでしょうか。

遺言で財産を引継ぐ場合。
「相続させる遺言」はNo156で紹介しましたが、遺贈のように放棄出来ないという東京高裁の判例があります。(最高裁で結論は変わるかもしれませんが)

放棄するには家庭裁判所で相続放棄の手続をする必要があります。しかし、この相続放棄をすると相続人でなかったことになりますから、他の財産も一切もらえません。

争いを防ぐために書いた遺言が、争いを引き起こす元になることもあります。
マイナスの資産は生前に処分するか、プラスの財産と合わせてバランスよく相続させる遺言を作成する配慮が大切です。

遺産分割協議でも相続の特性を知ることが大切です。
無価値な不動産を価値があると思い遺産分割を合意することがあるからです。
「こんな無価値な不動産だと知っていたらあんな遺産分割しなかった」と、遺産分割のやり直しを迫られることもあるかもしれません。
折角円満だった相続が争族になりかねません。

価値を正確に把握することは思っている以上に難しいことです。
しかし相続を円満に行うためには欠かせないことになってきています。

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