相続を法律問題にしない 中條レポートNo176

相続は「相」(姿)を続けるということです。
命のバトンを引き継ぐときです。

しかし、相続というと財産承継が主になってしまいます。
財産をどのようにわけるかです。

民法には、
相続で財産を引継げる人(相続人)
相続人がどの割合で財産を引継ぐか(相続分)
が書かれています。

しかし、相続人全員が合意すれば民法に関係なく財産を分けることが出来ます。
それでは何故民法に相続分が書かれているのか? 相続分が出てくるのはどんな時か?

話合いの基準として相続分が利用されることは多くあります。
もうひとつ、相続分が重要な役割を果たすときがあります。

それは相続を法律で裁くときです。
話合いで解決がつかず、裁判になったときの裁判官の判断基準です。

「全ての事情を総合考慮して判決を出す」ということになっていますが、この相続分が基本となって判決は出されます。理不尽だと思っても民法が基準になるのです。
裁判官が状況に応じて判断基準を変えていたら「法」が「法」でなくなるからです。一律に判断されるということです。

家族状況はみな違います。
それを法律で一律に判断してしまってよいのでしょうか。
「相続を法律問題にしてはいけない」と言われる所以です。

「子供たちが私たち(夫婦)の遺した財産で争わないことだけが望みです」
相談者の方から聴く真摯な想いです。
この想いがかなわぬことほど不幸なことはありません。
この想いを託される相続アドバイザーの役割の重みを感じます。

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