平成28年3月1日の最高裁判決(列車事故で認知症の父親の監督責任を問われ損害賠償請求されていた裁判)で勝訴の長男のインタビュー記事です。
『一審二審では「認知症の人が社会に面倒を起こさないようにどう監督するか」が協調され認知症の人の生き方に寄り添う視点がなかったと感じました。
最高裁判決で嬉しかったことは「認知症の人が行動制限されないことも重要だ」と木内裁判官が判決文の補足意見に書いてくれたことです。
面倒恐れて何かを奪うのではなく、父親らしく過ごさせてやりたかったという思いが認めてもらった気がしました』
介護する者が、責任を負わされたら必然的に本人の行動制限を行います。行動制限は本人に”その人らしく”生きてもらうための障害になります。
成年後見制度の理念です。
自己決定の尊重 「自分のことは自分で決め、そのことをみんなが尊重していこう」現有能力の活用 「現に有する能力を最大限に活用して自分らしく生きていこう」
ノーマライゼーション 「社会の中で普通に生活できるように社会の仕組みを変えていこう」
「認知症だからどうせわからないんだから」これは間違いです。
しっかりと感情があります。注意するのではなく共感していく。そして上記の三つの理念に基づいて接していくことが成年後見制度では求められています。
しかし100の内1つが事故につながると残りの99も規制されていく。
これが世の常です。上記の理念より行動制限が優先されていくでしょう。
今回の判決で介護者に過度な行動制限を取らせることにはならないでしょう。その意味では評価出来ると思います。しかし、家族の身体の状況や介護実態などによっては責任が生じる場合があるとも言っています。
このことから「介護に積極的に関与すれば、賠償責任を負うリスクが高まる面はある」「なるべく介護を引き受けないということになれば、在宅介護を推進する国の方針に反する」という意見も出ています。
「その人らしく」と「事故防止」そして「お金」。
この三つを解決する方法は…….。
対策が有るとしたら「地域社会の活用」。
ひと世代前の日本に戻ることだと思います。