セミナー講師の新たな役割 野口レポートNo245

NPO法人相続アドバイザー協議会に相続のプロを養成する「相続アドバイザー養成講座」があります。2時間1講座で20講座、延べ40時間です。相続のあらゆる分野を網羅した内容です。

平成12年に第1期相続アドバイザー養成講座がはじまりました。この第1講座の講師を17年間務めています。4月からは週1回(水)コースで第40期が開講します。

受講生は、税理士・弁護士・司法書士・行政書士などの士業をはじめ、不動産・建築・生保・FP・金融など、多くの分野の方が参加されています。受講料も20万円と決して安くありません。

第1講座にはプレッシャーがかかります。受講生は貴重な時間と高い受講料を払って参加しています。価値を試されるのが第1講座です。こんな程度かと思われたら意欲が下がり、続く講座の期待感も薄れてしまいます。よかったと思えば受講の意欲とテンションが上がります。そんな意味でも第1講座は責任の重い講座です。

法律編・税務編に続き、相続での多くの誤解や、円満相続のポイントなど、実例を交え相続で一番大切な「心の部分」を話します。相続の講座に「心」を取り入れたのはこの講座が初めです。ここで受講生の集中力が一気に高まります。

最後は「相続は心のコンサルティング」と題し、相続アドバイザーの心構えを話します。第1講座で私が一番伝えたいことです。

◎資格と人格は車の両輪である

バランスが取れていれば前へ進む。資格⇒知識・経験・ノウハウ=学ぶことで得られる。人格⇒感謝・謙虚・強さ優しさ・人間力=気付くことで得られる。人格のない資格は人を不幸にしてしまう。例⇒耐震偽装の一級建築士。人格が具わった資格には品格が出てくる。

 ◎相続実務に必要な三つのセンス 

(1)相続問題の本質を見抜く目と心を持つ。一度法律と財産を頭から外し、無の世界から依頼者の幸せを考えると本質が見えてくる。本質が見えれば何をしなければならないのかが分かる。

(2)ほんの少しのお節介をやく、単なる相続手続では「モノ」を売っているだけ、そこにほんの少しのお節介が入ることで「価値」を売ることになる。

(3)まずは人間として接すること、次に専門家として接すること。専門家として、専門性への信頼だけでは足らず、人間への信頼も伴って初めて依頼者から頼られる。

経済的利益だけでなく、精神的利益も守って差し上げるのが本当のプロです。目的は依頼者の「幸せ」です。相続は幸せになって意味があります。それができるのが相続アドバイザーです。

これからは専門家を養成するセミナー講師も、知識だけではなくもっと大事な部分も併せ伝えていく必要があると思います。 

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