死後事務 中條レポートNo191

死後事務とは亡くなられた方の葬儀、納骨、病院代の支払い、家財等の処分、近親者への連絡等をすることです。(死後の財産の分配方法を決める遺言とは異なります)

これらは通常親族が行いますが、独居で身寄りがいない、いても縁遠くなっている等で死後事務を行う人がいない(かかわりを拒否された)場合どうするのでしょうか。

後見人がいる場合。

後見人の業務は被後見人の方が亡くなったら終了です。しかし昨年、民法に873条2が追加され、身寄りがない等必要な場合に限り、後見人が一定の範囲の死後事務が出来るようになりました。(それ以前も後見人が事実上死後事務を行っていましたが…..)

具体的には病院・施設の未払い金の精算、火葬埋葬、等々。(早急に対応が必要な火葬に家裁の許可が必要等、どのように運用していくかはこれからです)
但し、葬儀や家財道具の処分等は同法では認められていませんので、実務上の課題も多くあります。

後見人がいない場合。

最終的には行旅病人及行旅死亡人取扱法」に従い行政が対応していくことになるでしょう。

事前に死後の身支度の準備をすることは可能です。任意後見制度の活用です。
任意後見契約を結ぶと同時に死後事務委任契約も結びます。

意思能力が衰えた後、任意後見契約を発動し、財産管理、身上監護を行ってもらいます。死後は死後事務委任契約を発動して、死後事務(身の回りの整理)を行ってもらいます。

死後事務委任は契約ですので、前記の民法8732のように範囲が限られているわけではありません。例えば自分が望む葬儀を行うこと、家財道具の処分を託すことが可能です。(但し、無制限に認められるわけではありません。財産の承継・分配に関することは遺言でしか行えません) 

身寄りのない独居高齢者の方が増えていくことが予想されます。
自分が死んだ後の後始末をどのようにするか。
本人の想いを実現できるアドバイザーが求められます。

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