死後委任契約 中條レポートNo148

死後のことを、生前にお願いする。このことを死後委任契約といいます。
民法651条では委任契約は委任者の死亡により終了すると書いています。しかし平成4年の最高裁判決で、
「委任契約が委任者の死亡によっても終了しない旨の合意をすることが出来る」との判断をしました。しかし何でも出来るわけではありません。
例えば財産処分。これは遺言という厳格な方法で行わなければなりません。委任契約で出来てしまったら遺言の意味がなくなります。

ではどのような場合に死後委任契約を利用するのか。
①生前に発生した未払い債務(病院・施設入所費用の精算)の弁済。
②委任者の死後の葬儀・埋葬・納骨。
③生活用品・家財道具の遺品の整理・処分に関する事務。
④家族・親族・親友・関係者等への死亡した旨の連絡事務。
⑤遺体の引取り。
等々
(②④⑤は遺言では出来ません。①③は遺言より機動的に出来ます)

どんな場面で活用出来るのか。
例えば、自宅に独居で住んでいる人。親戚との付き合いも遠ざかり、死後面倒をかけたくない場合。
死後の、葬儀(関係者への連絡。死後の事務に関し一切面倒を書けない旨を伝える)、納骨(永代供養)、身の回りの品物の処分を委任契約でお願いします。
自宅、預金等の財産の処分は遺言で行います。遺言執行者を定め自宅を処分、預貯金を換金してもらい、お世話になった人、親族に分配してもらいます。

賃貸住宅に住む独居の方も死後委任契約と遺言の組合せで、同様に手続をすることが出来ます。
賃貸人は独居高齢者の入居に対して、死後の処理を懸念して入居を拒むことがあります。独居高齢者が入居しやすくなることにも役立つでしょう。

高齢化社会。独居で暮らす方の数は増え続けます。
死後委任契約と遺言を組み合わせ憂いなく老後を暮らす事が出来れば利用価値は高いと思います。

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