所有者不明土地の対策として今年4月に法改正、新法作成が行われました。これらの法の施行は成立後3年以内とされています。
この改正は相続に関する法律にも影響しました。
相続したとき不動産の名義を相続人に変えずほったらかしていることが、所有者不明土地を発生させる要因だと考えられたからです。
テレビ等で報道されている相続登記が義務になるというのもその一つです。
その他にも相続実務に影響する改正が行われています。
相続開始後「10年」を経過した場合は特別受益や寄与分が法律争いの場で主張出来なくなります。(特別受益;故人の生前に住宅資金等のお金を贈与してもらった。等々 寄与分:故人に対して生前に金銭に換算できる恩恵を与えた。相続の財産分けをするとき、亡くなった時点の財産だけでなく、特別受益や寄与分を考量出来る)
相続が起こってから年数が経過すると、これらを主張する証拠が揃えにくくなり、争いが長引く要因になるからです。このことが、所有者不明土地を創出する原因にもなると考えられたからです。
令和2年7月に施行された相続法改正にも「10年」というキーワードがあります。
遺留分に関するものです。
「死亡する10年以上前に故人が行った贈与(特別受益)は遺留分を計算するときの財産の価額から外す」
10年以上前の贈与は証拠もあいまいになり、無用に争いを長引かせるというのが理由です。これは遺留分を請求するものにしては不利な改正です。逆に贈与を受けた者にとっては有利となるため、今後は早めの贈与が推奨されるようになるでしょう。(但し、遺留分が発生ることを知って行った贈与はこれに該当しません)
「10年」ひと昔。
10年はあっという間ですが、一区切りでもあるのでしょう。法改正は、ここを区切りにして争いを簡素化し早期解決を図る主旨なのでしょう。
前段のお話は相続時点では未来の「10年」。後段のお話は過去の「10年」。
相続は長期的な視点で関わっていくことが大切だと感じます。