常識と法律 中條レポートNo249

遺言とは
「相続人の間に不平等を持ち込む仕事」
と先月号で書かせて頂きました。その理由の補足です。

 相続実務に携わるとき戒めている言葉です。
「法律と常識が一致するとは限らない。そして常識は法律に勝てない。
法律のなかで生じたもめ事は法律で解決すればよし。
ところが多くのもめ事や問題は常識の中で生じている。
常識の中で生じたものを法律で解決すると心にシコリが生じる。
この認識を持つことは実務家として大切」

「常識の中で生じたもの」とは下記のようなことです。
親の面倒を献身的にみた長男と、そうでない次男がいる。
親は長男に多く財産を相続させたいと思う。

次男が「お兄ちゃんは親の面倒をみたのだから、財産さくさん相続しなよ」
と言えば、常識の中で解決するのでシコリは残りません。しかし次男が二分の一欲しいと主張すれば、法律が勝ちますので次男の言う通りとなります。

上記の問題を「法律で解決する」とは、
生前に親が長男に多くの財産を相続させる遺言書を書くことです。
遺言を作成すると「心にシコリが生じる」ことがあります。

だから、我々アドバイザーは
「相続人の間に不平等を持ち込むが不公平であってはならない」※
こと常に念頭にいれ、公平な遺言書作成のお手伝いを心がける必要があるのです。それが「心のしこり」を少しでも和らげることになるからです。
アドバイザーの役割が重い所以です。

※平等と公平の違い:お年玉をあげる場合、小学生、高校生、大学生に同じ金額を渡すのが平等。年齢に応じて金額を変えて渡すのが公平。

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