相続開始後10年 中條レポートNo261

相続開始後10年を経過すると、遺産を分割するルールが大きく変わります。

「生前に亡父から財産を貰っているのだから、相続のときはもらえる分が減る」
という特別受益という考えかた。
「生前に亡父に貢献したから今の財産がある。だから相続時は多くもらう」
という寄与分という考え方。
これらが、相続開始後10年経過すると主張出来なくなります。
結果、どんなに不公平な事情があっても法定相続分で分割することになります。

相続人が上記を主張すると、遺産分割がまとまらず相続争いが長引きます。遺産分割を長引かせず、所有者不明土地を減らすという対策の一環で出来た法改正です。
10年経過したらもう昔のことは水に流せということでしょうか。

相続の「開始を知った時」からでなく「相続開始から10年」というのも注意点です。開始を知ったのが遅れた場合も期限は10年となります。(例外規定はあるようですが)

但し、10年を経過した後でも、相続人全員が合意すれば、今まで通りどんな分け方でも大丈夫です。
「10年経過したら法定相続分で分けなければいけない」ということではないです。

今年4月1日からこの民法が施行されます。
この法律は既に相続が開始されている方も適用されます。(通常は施行前に起きたことは法改正に影響しないのですが、所有者不明土地を減らすという大義名分のもと遡及適用されるようです)
但し、10年以上前の相続に関しては、令和5年4月1日から5年以内は通常通りの遺産分割となります。

「相続開始後、揉めてしまったからそのままになっている」
10年はあっという間です。法改正が影響を与える人も少なくないでしょう。
正しいアドバイスが求められます。

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