共有 中條レポートNo271

日本の法律では、所有権は非常に強力なものとされてきました。

例えば、所有者がゴミ屋敷を作るなど、周囲に迷惑を及ぼす場合でも、所有権の絶対性から簡単には対処できなかったのです。ゴミであっても、所有者の承諾なしに廃棄処分することはできません。

しかし、所有権がいかに強固であっても、他人に迷惑を及ぼす行為には制限を加えるべきとの考え方が近年強まり、法改正が進んでいます。その一環として、今年の4月1日に施行された民法の共有に関する改正があります。

共有者の一人が行方不明である場合、売却を希望してもどうすれば良いのか、多くの人が悩んでいます。

これまでは、行方不明者の財産を裁判所が指名した管理人が管理し、その後、不動産の売却許可を得るための裁判を経る必要がありました。この方法では、管理人はその行方不明者の財産を全て管理する必要がありました。
今回の法改正により、共有不動産のみの処分を裁判所が許可することが可能になりました。

これは相続にも影響を及ぼします。共有者の一人が亡くなり、相続人の中に行方不明者がいる場合、その相続が開始して10年が経過した後、上記の同様の手続きで売却が可能になりました(一定の制限はあります)。

所有権に対する他の制限も追加されました。
例えば、隣地の枝木が自分の敷地に越境している場合、催告の後に自身で切ることができるようになりました。
また、給排水を私道から引くための工事を行う場合、私道の所有者の許可なく、通知を行うことで工事が可能になりました。

「自分の持ち物だから自分の好きにできる」
という概念に大きな変化が進んでおり、今後もこの傾向は続くと思われます。しっかりウオッチしていきたいと思います。

 

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