「家族信託」「個人信託」等の名前で呼ばれる制度。最近では普及が進み様々なところで提案されるようになりました。
信託の始まりは十字軍です。十字軍の兵士は、戦地に行くと故郷に残した家族と連絡がとれません。残された家族では、兵士の財産を上手に使うことが出来ない。
信託は故郷に残した財産を家族のためにどのように使うか悩む兵士のために出来た制度です。
兵士が故郷にいる資産管理運用に長けた信頼できる人に財産を託す(預ける)のです。託された人が、兵士の家族のために財産を活用していきます。そのためには託された人は、託された財産を自分の財産と同様に運用・処分出来ることが必要です。
その権限を与えるために出来た制度が「信託」です。
制度の根幹は「信じて」「託す」ことなのです。
お父様が将来施設に入りたい。施設に入るときはお金が必要。その時、お父様名義の自宅を処分する必要がある。でもその時お父様が認知症で意思能力が衰え、自宅を売却出来なくなったらどうしよう。成年後見制度を利用するのは大変そうだ。
こんな悩みを持つ方の利用が増えています。
お父様が長男に自宅を「信じて」「託し」ます。
自宅の売却が必要になったら、長男が自宅を売却し、お父様の施設費用を捻出します。
子供がいない「本家」の長男。自分が亡くなった後、妻の生活のために、妻に財産を残したい。しかし、妻が死亡すると財産の四分の三は妻の兄弟へいってしまうのは困る。妻が死亡したら財産を弟(又は弟の子)に相続させ本家を守って欲しい。
こんな悩みの方が信託を利用します。
長男が弟(又は弟の子)に財産を「信じて」「託す」のです。
長男が亡くなったら、財産を長男の妻のために活用します。長男の妻が亡くなったら弟(又は弟の子)が財産を取得し本家を引き継ぎます。
信託には上記の他にも様々な利用方法があります。
どの利用方法でも一番肝心なのは「信じて」「託す」お互いの信頼関係です。