死因贈与と遺贈の違い 中條レポートNo287

相続対策において、「死因贈与」は有効な選択肢の一つです。
これは贈与者が亡くなったときに効力を生じる贈与契約であり、遺言による遺贈と類似していますが、いくつかの重要な違いがあります。
ここでは両者を比較しながら、死因贈与の実務での活用について解説します。

まず、共通点としては、どちらも贈与者(遺言者)が死亡することで効力を生じ、相続手続の一環として財産の承継が行われる点です。

しかし、成立の仕方に明確な違いがあります。

遺贈は遺言による単独行為であり、遺言者の一方的な意思で作成・撤回が可能です。

死因贈与も贈与者の一方的な意思表示で撤回可能ですが、一定の条件のもと撤回を制限することも可能です。

「〇〇をすることを条件に私が死んだら贈与する」という契約では、贈与を受ける人が〇〇を行うと贈与者が一方的に取り消せなくなります。

また遺贈では、受遺者が遺贈を放棄し受け取らないことも可能ですが、死因贈与は契約ですので放棄することが難しくなります。必ず受け継いでもらいたいもの(自宅等)を遺したいときの選択肢にもなります。

また不動産では贈与者の生前に、受贈者の仮登記を行うことも出来ます。

また、形式面でも違いがあります。

遺言は原則として自筆証書または公正証書など法律に則った形式で作成しなければ無効となります。

一方、死因贈与契約は法律上決まった形式はないため簡易に作成出来ます。全文ワープロで作成した贈与契約書に当事者が署名捺印すれば有効に成立します。

但し後日紛争にならないよう、当事者の真意で行ったことを証明できる工夫が必要になります。

死因贈与は、遺言では対応しにくい個別事情に対応できる手法です。適切に活用することで、贈与者と受贈者双方の意向に沿った相続が実現できます。

実務では、契約の明文化、公正証書化、負担の明確化(負担の履行が証明出来ないと紛争の元になる)が重要なポイントとなります。
適用場面や法的効果を理解したうえで、慎重に取り扱うことが求められます。

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